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宮司講話集

「石鳥居のご奉納・宮司就任のご挨拶」
令和4年10月19日 船岡大祭にて

 
 本日は皆様船岡大祭にご参列賜りまことに有難うございます。今年は素晴らしいお天気にも恵まれ、3年ぶりに参列人数を制限することなく、またご祭神直系に当られます織田信孝様を始め各地からゆかりの方々のご参列も得て、火縄銃の鎧武者も多数来ていただき、こうして盛大に船岡大祭を執り行うことができましたこと、心より感謝申し上げます。



 さて、この度、建勲神社の正面の参道に名古屋市の内田安彦様、聰明様、博基様より石鳥居をご奉納いただきました。鳥居は神社の地図記号としても使用されており、神社といえば鳥居を思い浮かべる方も多いと存じます。鳥居は、神社の入り口に建てられ、神社の内と外を区切る結界として、外界からの邪気の侵入を防ぎ、ご神域の霊性を守り高める役割を担っています。
 建勲神社にも、明治13年、この船岡山の山麓に新たに御社殿が造営された際に立派な素木の大鳥居が建立されました。当初は建勲神社の入り口はこの大鳥居1ヶ所で、ご参拝になる方は必ずこの大鳥居をくぐって境内に入って来られました。また大鳥居を入ってすぐ社務所があり、拝殿があって、石段を数十段上がったところにご本殿があり、現在に比べ、大鳥居からご本殿までの距離はかなり近かったわけでございます。
 ところが明治43年に山麓にあったご社殿を、この山頂の現在の位置に移築しました。その結果、大鳥居からご本殿までの距離がだいぶ長くなりました。またその後新たに参道が整備され、その結果、長い間、北参道や南参道からお越しの方は鳥居をくぐることなくご参拝される形になっていました。
 今回、新たに北参道と東参道が合流する踊り場から石段を少し上がったところに、石鳥居をご奉納いただき、北参道からお越しの方も、鳥居をくぐっていただけるようになりました。また東参道からお越しの方も、よりご本殿に近いところで再度鳥居をくぐることで、より一層清々しい気持ちでお参りいただけるようになったのではないかと存じます。ご奉納いただいた内田様には、改めて厚く御礼申し上げます。

 さて私事でございますが、この5月に昭和61年から36年間の長きに亘り宮司を務めた父の後を承けまして建勲神社の宮司を務めさせていただくこととなりました。
 この十数年間、父の下で神職としての研鑽を積んでまいりましたが、建勲神社にご奉仕させていただくことになった時、最初に父から言われたことは、「とにかく掃除を大切にしなさい」ということでした。メジャーリーグで活躍している大谷翔平選手が球場でさりげなくゴミを拾う姿が話題となり称賛され、日本人として誇らしい気持ちになりますが、日本人は、古来、清浄であることを尊んできました。掃除というと簡単なことのようにも思えますが、平凡の凡に事と書いて、凡事徹底という言葉がありますように、私も当たり前のことをきちんと行うということを積み重ね、建勲神社にお越しになる方が、清々しい気持ちでお参りいただけるよう、この厳かで凛とした霊気に充ちたご神域を今後とも維持してまいりたいと存じます。
 また今年のNHKの大河ドラマは「鎌倉殿の13人」ということで、鎌倉時代が舞台となっていますが、1232年、今から800年近く前に、時の執権北条泰時が制定した御成敗式目という法律があります。これは武家社会の慣習や道徳を成文化した51箇条からなる法律ですが、その第1条には何と書かれているかご存知でしょうか。実は私も神職になってから知ったのですが、御成敗式目の第1条には「神社を修理し、祭祀を専らにすべきこと。」と書かれています。
 鎌倉時代に限らず、日本では昔から、各地で神社のご社殿の修理が行われ、お祭りが大切に継承されてきましたが、神社の修理やお祭りを行うことが大変な時代もありました。私の祖父が建勲神社の宮司に就任したのは昭和19年でしたが、戦後しばらくの間、神社の維持に大変苦労したと聞いています。
 建勲神社では、この春3ヶ年計画で実施していた義照稲荷社の崖の補強工事が無事終わり、また今日の船岡大祭に間に合うようにと拝殿の欄干の修繕工事を終えたところです。またこの9月から新たにお蔵の漆喰の塗替えなどの工事に着手しております。
 今、こうして神社の修理を行い、このように盛大にお祭りを斎行することができることに感謝し、父や祖父をはじめ、多くの人々によって守り伝えられてきた建勲神社を、私も次世代にきちんと継承し、織田信長公の偉業を後世に伝えていくために、微力ながら誠心誠意努めてまいりたいと存じます。どうぞ今後ともあたたかいご支援を賜わりますよう宜しくお願い申し上げます。

 この後3年振りに火縄銃の演武奉納がございます。信長公が天下布武に邁進された約450年前の戦国乱世の日本に思いを馳せていただき、建勲神社の大神様のあらたかなご加護をお受けになられ、益々お元気に、お幸せにお暮しなさいますようお祈り申し上げます。本日は船岡大祭にご参列賜りまことに有り難うございました。

(以上)