大和祭 宮司あいさつ
「陰陽論について」

本日は皆様大変お忙しいところ、又、大変ご遠方のところ、大平和敬神大和祭にご参列賜りまことに有難うございました。お蔭をもちまして今年の大和祭も滞りなく執り行う事が出来、心より厚く御礼申し上げます。

さて昨年平成2年には国を挙げて天皇陛下の即位の礼、大嘗祭の一大慶事が行われ、又、今年2月には皇太子殿下の立太子礼が行われ、日本の国も内外共に変革期の中、今年から本当に平成の新しい時代を切り開いて参る事となりました。又、修養団捧誠会に於かれましては、今年は昭和16年6月の発会より正に50年という大変おめでたい年に当り、今後発会100年に向けて一層の発展に臨まれる洵に意義深い年に当ります。又、大平和敬神の神石も昨年11月10日、20周年のお祝いをし、今年は、又、新たな出発の年に当ります。どうぞ皆様この節目の年に当り、教祖様の「みおしえ」を今一度再確認され、さらなる発展へと歩み出されます様、お祈り申し上げる次第であります。

さて昨年の大和祭におきまして、私、大平和敬神の5文字が姓名学からみて、その画数に於いても、陰陽の配列に於いても、五行の組合せに於いてもいかに理想的なものであるかについてお話させて頂きましたが、本日は、このような姓名学の基礎となります陰陽論についてお話し申し上げたいと存じます。姓名学の他、易学にしろ四柱推命学にしろ、家相、方位、墓相学等、東洋思想、東洋哲学の基本となりますのは陰陽五行説であります。さらに昨年の即位の礼や大嘗祭等の儀式、又、神社やお寺の習俗、思想の基本に流れています根本理念はやはり陰陽五行説であります。やや専門的になりますが、本日はこの陰陽五行説のうち、陰陽論についてご説明申し上げます。
陰陽論によれば、この宇宙の根本は太極という形のない無象のものであります。太極は宇宙の森羅万象、有形のもの、無形のもの、精神的なもの、物質的なもの全てを包含しており、太極は言葉ではいいあらわしにくいもの強いて申せば絶対的虚無とでも申すものであります。
仏教を始めインドの宗教、中国の宗教である儒教や道教、日本の神道も言葉は違っていても、この太極を根本とみなす点は同じであります。これに反し、イスラム教やユダヤ教、キリスト教では宇宙森羅万象のさらに外側に別のものとして神の存在を考えますが、東洋哲学では神も人も動物も植物も物質もこの万象の根元たる太極から生まれてくる、生成してくる、なりましてくると考えるのであります。太極が活動して陰と陽の二つの気を生じ、この二つの気が縦横に組み合わされてこの宇宙のすべてが形成され、発展しつつあるのであります。
陰陽論をもう少し正確に申しますと。「およそ宇宙の森羅万象ことごとく、これを大別すると陰と陽の二つの気からなっていて、いかに大きなものでも、いかに微細なものでも陰陽二気のみから成り立っており、しかも陰と陽の二気は決して孤立することなく、単独で存在することもなく、陰は陽のかげにかくれて陽を助け、陽は陰の表に現われて陰を導き、この輝かしい宇宙を形成し、進展せしめつつあるというものであります。例えば、明あれば暗あり、生あれば死あり、男あれば女あり、プラスあればマイナスあり、天あれば地あり、美があれば醜があります。この陰と陽の二元論は現代の最先端科学に不思議に当てはまります。
物質のもとは原子で、原子は原子核と電子より成り、原子核の中には陽子、中性子、中間子があると我々は学校で教わりましたが、今ではこれらもすべてプラスとマイナスの素子のみに行きつくとされています。
コンピューターは1と0の2つの記号のみにより、どんな高度な計算も行いますし、どんな複雑な図形も処理します。
易学も陰と陽の2つだけの分析であります。陰と陽を2つ重ねますと、四象になり、3つ重ねると八卦になり、八卦を2つかさねると六十四卦になります。易は天地万象を64通りに分析して吉凶を占います。
ここで大変興味深い事ですが、筮竹と算木によって64通りに分けて物事の吉凶を占う際、64の内、この卦がでれば必ず吉であるとか、必ず凶であるというものは全くございません。いずれの卦も天地自然のある状態を示すものであって、それに応じてこういう道をとれば凶に向かい、こういう努力をすれば吉に向かうという事を教えるものであります。
太極の活動の発露である森羅万象や人間の行いは、いずれも宿命的に定まったものでなく、陰陽の縦横の組み合わせにより、大いに向上させえるものであります。

本日は東洋思想、東洋哲学の根本をなす陰陽論、太極論につきお話しさせて頂きました。皆様に何らかのご参考となれば大変幸甚に存じます。

最初に述べさせて頂きました如く、今年は色々な意味で新しい出発の第一歩の年にあたります。皆様には出居教祖様のみおしえに一層研鑽を積まれ、「みおしえ」のシンボルであります大平和敬神の神石を始め各地の和石、神石の元、益々交流を深め、ご発展なさいます様お祈り申し上げ、私の本日のご挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました。

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