船岡大祭 宮司あいさつ
「日本の歴史を動かした人物達の共通点」

本日は皆様船岡大祭にご参列賜りまことに有難うございます。船岡祭は信長公が天下統一の為始めて上洛された永禄11年10月19日にちなむお祭で、毎年この日に執り行われて参りました。本日も地元各学区の皆様はもとより各地よりご参列頂き、又、古式砲術流儀保存研究会の皆様には火縄銃の三段撃ちご奉納でお祭に花を添えて頂く事となり有難く厚く御礼申し上げます。

さてテレビドラマ「利家とまつ」の関係でしょうか、今年は年初より多くの人達が建勲神社をご参拝頂き大変嬉しく存じております。又、今年NHKがアンケートを行い日本の歴史に一番大きく貢献した人物は誰か調査しましたところ、何と織田信長公が圧倒的に第一位となりました。建勲神社の宮司と致しましてはまことに喜ばしく感じました。
この調査によりますと、日本の歴史に大きく貢献した人物といえば、やはり幕末明治維新の志士達や戦国時代の武将、それに聖徳太子等があげられております。私もかねて日本の歴史を動かしたキーパーソンは聖徳太子と織田信長と明治天皇の3人であると考えておりました。そして面白い事にこの3人は大変共通したところがあります。それは外国より新しい文物や考え方を積極的に導入する改革者の面と、それまでの日本の伝統を自信をもってしっかり守るという面を併せもっている点であります。

聖徳太子は仏教や儒教等の宗教を始め、中国大陸の文化を積極的に取り入れて国造りをされると同時に日本古来の神社を手厚く崇敬されました。
信長公も同じくキリシタンを始め西洋の知識や南蛮文化を積極的に取り入れて日本の国を大改革されました。それと同時に百年以上途絶えていた伊勢神宮のご遷宮を再開して日本古来の神社を大切に守り、又、皇居を修復する等天皇の権威の回復に努め、日本のそれまでの伝統や文化を自信をもって発展させました。
明治天皇による明治維新では、和魂洋才のスローガン通り、西洋のすぐれた制度や技術と日本の伝統を調和させました。

このように自国のそれまでの歴史・文化を自信をもって守っていくと同時に海外からの優れた制度・文化をどんどん取り入れるというのは、ごく当たり前の事のようでなかなかそうなりません。どちらかに片寄るのが通例であります。
ドイツやイギリスがまだ野蛮なゲルマンの王国だった頃、優れたローマ・ギリシャ文明やキリスト教をどんどん取り入れました。しかしゲルマンの王達は聖徳太子が神社を守ったのと違って、自分達の古来からのゲルマンの自然神の信仰を棄て弾圧し、全くその痕跡もなくしてしまいました。
又、少し前の中国では毛沢東の文化大革命で新しい中国を造ろうとした事はそれはそれで立派な事なのでしょうが、そうだからといって、中国の伝統である孔子や孟子の遺物を全中国から抹殺すべくこわしてまわる事はないと思われます。
聖徳太子や信長公、明治天皇に代表される日本の優れた指導者達により、日本はいつの時代にも世界の中で一番すすんだ文明の恩恵にあずかると同時に日本古来の文化文物を破壊することなく今も享受できることは本当に有難い国柄であります。

さて、この程愛知県の鬼頭一雄様が建勲神社の北参道立派な石燈籠を一対ご寄進頂きました。又、南参道の一部が従来地道でありましたが、新しく石畳を敷き詰めました。この拝殿一帯の玉垣を、この程全面改修し、又、山のふもとのお稲荷さんの朱の鳥居5基を塗り替えいたしました。皆様のお力により境内が次第に整備されて参り、重ねて御礼申し上げます。

本日はご多用の中ご参列賜り本当に有難うございました。どうか皆様には建勲神社の大神様のあらたかなご加護の下、益々ご健康にご発展なさいますようお祈り申し上げます。有難うございました。

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